pimapy’s diary

2020年生まれ、CHARGE症候群のぴまちゃんと過ごす日常。重度難聴のため補聴器の練習中。

男性の育休申請〜みなさんに背中を押してもらいました〜

前回の続きです。

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私は教員をしております。女性の多い職場なので、産休をとる方もたくさんいらっしゃいます。そして子供が産まれると、性別と体重がアナウンスされ、母子ともに健康なことが周知されます。

 

私の場合は妻の出産に立ち会いをしているのですが、その次の日はお休みをいただきました。大変な状態だったので、職場の同僚にも説明はあまりしておらず、管理職は気をきかせてくれ、出産のアナウンスはされず、職場の中では産まれたのか産まれていないのか、真相は一部の人しか知らない状態でした。

 

私が産まれてから5日ほど経ってから初めて出勤した時には、あえて話しかけてこない人と、あえて話しかけてくる人と、何も知らずにおめでとうと言ってくる人と、そもそも何も知らない人の4パターンがいました。その当時、私に余裕はなかったので、助けてくださいと言わんばかりに、娘が大変な状態だという話をできるだけしました。そして、仕事を早く切り上げたり、お願いしたりして、なんとか早く帰宅していました。その時の皆さんの気遣いには本当に感謝しております。

 

しかしそれも長くは続きません。やっぱり仕事は仕事です。帰る時間はだんだん遅くなり、結果子供が産まれる前とあまり帰宅の時間が変わらなくなりました。このままずっとこの生活を続けるわけにはいかないと思ったので、私は男性の育休を取得してみることにしました。

 

心配なのはお金です。収入が減ってしまい、支出だけになるがそれは大丈夫なのだろうか。よくよく調べていくと、「育児休業給付金」は女性だけでなく男性でも同じようにお金が支給されるとのことでした。試算表を作って計算してみたところ、1年間だったら問題なく過ごすことができそうでした。

 

育休取得を考えた時は11月。年末ごろに来年の人事が動き出すことがわかっていたので、言うなら今がラストチャンスでした。初めに話したのは校長先生でした。

 

校長先生は産まれてからもすぐに情報を共有しており、我が子の誕生のように喜んでくださり、また親身になって話を聞いてくださいました。話を聞いていただく中で、大変な状況に涙を流してくれ、気持ちに寄り添ってくださいました。今までの状況をふまえて育休を取得したい旨を伝えると、「是非そうした方が良い」と背中を押してくださいました。

 

その後は教頭先生からすぐに話があり、手続きに必要な書類のリストを作ってくださいました。しかも住民票と簡単な書類だけで、そのほかの書類はすでに教頭先生が資料を作成してくれていました。連携のスピードと仕事が早くてびっくりです。前例のないことだったので、手続きがどうなるのか心配でしたが、管理職の方がすぐに動いてくださり助かりました。

 

だんだん周りの方に育休の事実を伝えていくと、みなさん揃って「いい決断だね」「頑張ってね」と背中を押してくれました。非難されることも少なからずあるかと思っていましたが、誰からもそのようなことは言われず、気持ちよく育休を取ることができました。育休は子供がいる人の権利でもありますが、やはり職場に感謝の気持ちは忘れてはならないと思いました。

チャージ症候群とわかってからのこと〜ゆっくり成長していきました〜

前回チャージ症候群が遺伝子の疾患であり、治らない病気であることをお話ししました。

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妻の実家に居候していたので、平日は育児をほぼ実家の母と妻に任せ、休日は少し遊んでまた仕事に行くという生活スタイルでした。発育と発達が遅いため、ハイハイ、お座り、立つといった成長もかなり先になりそうでした。

 

子供は身体能力、コミュニケーション能力、脳の発達など、さまざまな成長をしますが、それぞれ単体で成長していく訳ではなく、全てが関わりあって成長していくと言われます。座るようになれば見る世界が変わり、興味も湧いてきて、どんどん知識を吸収してさらに行動範囲を広げようと、立ったり走ったりすると行った具合です。

 

退院してからの変化といえば、生後2ヶ月でメリーを目で追うようになり、3ヶ月で手足を動かし、4ヶ月ごろ少しずつ笑顔が見え、5ヶ月ごろ左右に顔や体を動かし、6ヶ月ごろに支えありでうつ伏せに挑戦(時間は4秒ほど)、7ヶ月ごろにうつ伏せ時間10秒ほど、8ヶ月ごろに離乳食を舐める程度、といった具合でした(正確ではありませんが大体こんな感じです)。

 

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哺乳は問題ないと言われていたため、ミルクは安定して飲めていました(哺乳の際、呼吸が苦しくなることはよくありました。体重はミルクのおかげで成長曲線の一番下にぎりぎり食い込むくらい。身長は成長曲線の範囲には届きませんでした。

 

かなり成長がゆっくりなので、手がかかる状態が長期間続くことを予想すると、とても実家を出ることはできませんでした。また、妻1人で育児をするのもとても厳しいと思いました。

 

そこで私は、育児にもっと時間を使うためにあることをしました。それはまた、今度お話しさせていただきます。

染色体異常と遺伝子異常の違い〜産まれてくるまでわかりません〜

前回、ぴまちゃんのチャージ症候群が発覚し、遺伝子異常についてお話しを書きました。今回は、染色体異常と何が違うのか書いていきます。

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まず下の図を見てください。前回までお話ししていた「遺伝子」というのは画像左下の「A」「T」「G」「C」と書かれている螺旋構造をした物体のことで、通称DNAと言います。その細長いDNAが綺麗に折り畳まれて、右上の紫色をした「リボン」のような形を形成しています。これが染色体です。染色体は22対の染色体(合計44本)と1対の性染色体(合計2本)の計46本の染色体が人間の60兆ある細胞の1つ1つの中の核(画像上のピンク色の丸い物体)に入っています。それが、受精した時に、受精卵の核の中の染色体の数が合計47本になったり、45本になったりすることがあります。これが染色体異常です。

 

 

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OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像

 

遺伝子異常と似ているのは、やはり受精卵の時の染色体の数が、そのまま体細胞分裂を繰り返し成長していくので、途中で治ることはないということです。染色体の数が合計47本で産まれた場合、60兆個の全ての細胞の染色体の数は47本ということです。

 

どうして染色体の数が違うのか、遺伝子に突然変異が起きてしまうのかは全て解明されている訳ではなく、現状防ぎようのないものです。なので、「どうしてこんなことになってしまったのだろう。」と考えることはやめました。それはどうしてこんなことになってしまったのか、誰もわからないし、誰のせいでもないからです。ぴまちゃんはそんな事実とは全く関係のないところで普通に生きています。その生命を尊重することが大切なのだと改めて思いました。

CHARGE症候群確定~遺伝子検査の結果は~

更新の間が空いてしまいました。

前回は耳が全く聞こえないことが分かり、将来が不安になった話でした。

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外来で行っている病院ではCHARGE症候群の確定診断をすることができないため、別日に、都内の大学病院で遺伝子検査を受けることになりました。また、耳についてのフォローもこちらの病院でお世話になることになりました。

 

結果は、「CHARGE症候群」という遺伝子異常の疾患でした。詳しく説明いたします。染色体の中にある螺旋構造のDNAは4種類の塩基が2つずつ約30億対連なっており、長い鎖を形成しています。ぴまちゃんの場合は、あるべき塩基対が2対欠損しており、それによってタンパク質の形成が正常にできなくなってしまったということでした。私はこれを理解するのにかなり時間がかかりました。

 

 

遺伝子異常は細胞分裂の過程で誰にでも起こるものですが、異常が起こった遺伝子は体の機能によって修正されます。分裂のたびに何度も修正をかけるのですが、たまたま修正ができなかった遺伝子が残ったり、遺伝子自体がなくなってしまったまま気づかれずに精子卵子ができ、受精すると、異常が修正されないまま、受精卵となって、胎児になります。

 

遺伝子は体の設計図とも言われており、遺伝子の設計図の通りに胎児のタンパク質を形成します(大人になっても遺伝子はかわりません)。具体的にいうと、目や鼻や口、手足や内臓、血液、骨や筋肉など、体の全てのパーツはほぼタンパク質でできています。遺伝子に異常があっても、その場所によっては、全く問題ない場合もたくさんあります。しかし、ピンポイントで大切な遺伝子が異常な状態であると、遺伝子1対でも違うだけで、体に大きな変化が起こってしまうという仕組みです。

 

染色体検査が問題なかったのは、遺伝子異常と染色体異常が別物だからでした。それはまた、別の記事で説明いたします。まさか遺伝子異常ということがあるなんて全く知りませんでしたし、染色体検査をクリアしたので、その線はないと思っていたのですが、、、、

今回決まったことは2つです。

 

1つ目は、治らないこと。遺伝子は体の全ての細胞60億個の中に1つ1つ入っています。その設計図を根本から変えることは今の技術では不可能です。

2つ目は、たくさんの支えが必要なこと。ぴまちゃんは、難聴(内耳奇形あり)と気管軟化症、咽頭狭窄、成長発達の遅延があります。小さい時はとにかく風邪に気をつけて、気管を潰さないように気をつける必要があります。耳はほぼ何も聞こえていないだろうとのことです。成長が遅いので、就学の問題も心配です。とにかく、両親だけでは育児不可能です。お医者さんを中心に、教育、リハビリも多方面から見ていく必要があります。

 

私たちは覚悟を決めなければなりませんでした。

耳も聞こえていなかった~チャージ症候群とは~

ついにCHARGE症候群という謎の病気の可能性が浮上しました。

前回の話はこちら

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外来で通っている病院に来る都内の先生が、ぴまちゃんの所見からこの病気の可能性を指摘してくれました。

 

今まで、食道閉鎖、気管軟化症、動脈管開存症咽頭狭窄と様々な病気が見つかり、それぞれ、5000分の1や10000分の1程度の可能性で発症する病気なのですが、これらが同時に起きる病気として、CHARGE症候群があるとのことです。この病気の心疾患と後鼻腔の閉鎖や狭窄には当てはまりましたが、他にも耳、目、成長発達の遅れや、ホルモンの問題など、さまざまな病気が合併していることがあるということでした。そして新たに分かったこととして、耳については、かすかに脳波は反応しているものの、ほぼ全く聞こえていないだろうと告げられました。さらに目についてはまだ検査をしていないので、今から検査しますとのことでした。

 

すごいスピードで物事が進んでいき、とてもびっくりしました。この話以降、私たちは、今後の就学の問題を考えなければならなくなりました。耳が聞こえないということで、普通の幼稚園や保育園、小学校には通えないだろう。これからどうすればよいのでしょうか。不安が一気に押し寄せてきました。

 

目の検査の結果は、特に問題なく、問題なく見えているとのことでした。この目を使って、いろいろな情報を与えていかなければならない。普通の子育てとはちょっと違う、新しいスタートラインに立った気がしました。

染色体検査~合併奇形が多すぎる~

前回から間があいてしまいました。

ぴまちゃんはやっと退院して、家族そろって毎日ぴまちゃんと一緒にいることができるようになりました。

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夜はサチュレーションがなるたびに起きて体勢を整えたり、縦抱きをしたり、いろいろ試行錯誤しながら、安心できない夜を過ごしていました。夜中にずっと呼吸が苦しそうなまま泣き続けて、何度か緊急で訪問看護師さんを呼んでしまったこともありましたが(遅くにありがとうございました)、いろいろ教えていただきながら、一生懸命お世話していました。特に入院するようなこともなく順調でした。

 

退院して1か月後の初めての外来。これからの方が長いです。何も様子が変わっていないといいけど。心配しながら、主治医の先生のところに行きました。

 

実は退院が間近に迫ったころ、ぴまちゃんに合併奇形が多すぎるため、今後のためにも染色体検査を受けてみないかと言われており、その結果をもらうことになっていました。これは本当に怖かったです。たくさん病名を調べていたので、いろいろな可能性があると思っていました。結果は、、、特に何もなし。とりあえず染色体異常はなかったです。ほっとしたのもつかの間、可能性として言われたのが、CHARGE症候群でした。

退院~やっと家に帰ってきました。

前回は退院して病院を出たところまでのお話を書きました。

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車で30分ほど。帰ってくると、さっそくみんなでじろじろ。。ほとんどの親族が初めて、しかもこんなに近くで見れるなんて!!すごくレアなもの、いや宝物を見るような目で、近くで見ていました。これからとても愛されていくんだろうなあと感じました。たくさん写真を撮られて、ミルクを飲んだり、寝たり、風呂に入ったり、一つ一つにみんながとても感動し、幸せが溢れました。普通のことなのかもしれないですが、2カ月間病院でためていたエネルギーが爆発して、一挙手一投足の可愛さがすさまじいです。

 

何もしていないですが、すごく楽しく、すごくあっという間な1日が終わりました。今日から家族で一緒に暮らしていきます。ちなみに、ここは妻の実家なので、私、妻、妻パパ、妻ママ、妻弟、ビーグル(犬)、三毛猫が同居しています。いきなりとても賑やかになりましたが、ぴまちゃんは環境の変化に適応できるのでしょうか。また入院するなんて嫌です。これから一緒に過ごす日々を楽しみに眠りにつきました。

 

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ベビー布団で初めてのねんね